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最高裁判所第一小法廷 昭和45年(オ)427号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人高島照夫の上告理由について。

被上告人は上告人に対し、昭和二七年一二月二〇日頃大阪市東区谷町五丁目二〇番地の乙宅地六六九坪六合六勺および同地上の若干の建物を代金七〇〇万円で売り渡し、代金中三〇〇万円については、上告人が右買受にかかる宅地建物を担保とし、かつ、被上告人の連帯保証を得て、株式会社近畿相互銀行から借り受ける金員等で支払を受け、残額四〇〇万円については、上告人が他から借りいれる金員で支払を受ける約束であつた旨、および、上告人は、右売買代金の授受に先きだち、昭和二八年二月四日被上告人との間に右金四〇〇万円について本件公正証書を作成し、同月二八日右宅地建物につき上告人名義に所有権移転登記を受け、これを担保とし、かつ、被上告人の連帯保証を得て、同年三月五日近畿相互銀行から、利息、諸費用一〇五、一〇〇円を差し引いた二、九三二、四〇〇円の借入金の交付を受け、被上告人に対し三〇〇万円を支払つたものである旨の原審の認定は、原判決(その引用する第一審判決を含む。以下同じ。)挙示の証拠関係に照らして首肯でき、この事実認定の過程において採証法則違背は認められない。所論は、原審の適法にした右事実認定を非難するか、原判決を正解しないことに基づくものであるが、原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 藤林益三 裁判官 入江俊郎 裁判官 長部謹吾 裁判官 岩田 誠 裁判官 大隅健一郎)

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